腰痛

「病院では原因不明」と言われている慢性的な痛みを治すための治療戦略Part①

この投稿は、慢性的や腰痛や肩こりといった痛みを患う方の施術に特化した整体院アルファが、痛みでお悩みの皆様に最新のエビデンス情報をお届けするコラムです。

慢性疼痛専門整体アルファは福岡市南区大楠で施術を行なっています。長年の痛みに悩まされている方はぜひ一度当院にお越しください。必ず皆様のお力になります。

世の中で腰痛をはじめとする「慢性疼痛」を患っている方の中には、病院では原因不明と言われるケースがあったりします。

これは期間が長ければ長いほどその傾向にあって、このように医学的に説明のつかない身体症状をMedically Unexplained Physical Symptoms (MUPS)といいます。

MUPSとは
特定の医学的条件や病理的な説明がなく、持続的な身体的症状や機能障害を引き起こす状態のこと

MUPS患者様に対する治療は私たち理学療法士はもちろん、医師も難渋する場合が多くその結果、患者様はいろんな医療機関や代替医療(整体・整骨院・鍼灸院など)を利用するといった経過を辿りやすいです。

では、MUPS患者様に対して医療は打つ手がないのか?

と思うかもしれませんが、実はそうではありません。

近年(2023年)、海外で20年以上のキャリアを持つ医師がMUPS患者のために開発した治療ツールがありまして、その名を「Individual Challenge Inventory Tool(ICIT)」といいます。

ICITは、何かしらの精密機器や特別な手技ではありません。

武器は「会話」です。

というのも、MUPS患者の多くはしばしば医療に対しての不満や不信感を感じ、自分の症状が真剣に受け止められていないと感じていることがあります。

その結果、医療側との信頼関係が構築されず痛みの慢性化が加速してしまうという悪循環を辿ってしまいます。

だからこそ、どのように患者様の症状を捉え、どのように回復へと導いていくのか、その時重要になる「コミュニケーション」に特化した方法がICITです。

この記事では、ICITがMUPS患者に対してどのくらい効果が証明されているのか、海外の研究を元に解説していきます。

なお、ICITの具体的なやり方については次回の記事で解説しますので、公開次第そちらも併せてご覧ください。

「病院では原因不明」と言われている慢性的な痛みを治すための治療戦略Part①

ICITの流れ

ICITでは大まかに以下のような流れで進めていきます。

1.患者の感情の承認
2.MUPSが生じる理由の説明
3.活動計画の作成
4.ソクラテス式対話法の活用
5.フォローアップ

※具体的な方法を別の記事で解説します

対象となったMUSP患者の特徴

18歳以上の成人で、少なくとも3か月以上身体的な症状が続いている方が該当します。(例:腰痛、関節痛、疲労、頭痛など)

合計で541人のMUPS患者がこの研究に参加しました。

ただし、全員がICITを受けた受けた訳ではなく通常の治療と2グループにランダムに振り分けられています。

ICITグループ: 238人の患者が含まれています。(11週間)
・通常治療グループ: 303人の患者が通常のケアを受けました。(11週間)

このように、541人の患者がランダムに2つのグループに振り分けられ、ICITを用いた治療を受けた患者は238人でした。

ICITの効果

ICITを使用した介入グループでは、76%の患者が機能、症状、生活の質(QOL)において改善を報告しました。

これに対し、通常の治療を受けたグループでは38%の患者のみが改善を報告しました。

また、特に大きな効果がみられたのが「仕事」に関してです。

11週間後、ICITグループでは病欠が52%から25.2%に減少し、27ポイントの減少が見られました。

一方、通常の治療を受けたグループでは病欠は49.7%から45.7%へとわずか4ポイントしか減少しませんでした。

この差は非常に大きく、ICITが病欠を減らすのに効果的であることが示されました。

ICITは、患者様の満足度も非常に高いことが明らかになり、その要因としては医師との対話が生産的であり、時間を効果的に使っていると感じていたこと。

また、医師からのサポートや症状の理解を十分に受けていると感じていたと報告されました。

その結果、患者の不安が軽減され、ポジティブな感情が増加したというのが一つ大きな成果として得られています。

このように、MUSP患者に対する治療手段としてICITを用いることは非常に効果的であり、適切に運用することができれば大きな武器になるのではないかと思います。

次回は、これを踏まえた上でICITの実際の進め方について解説していきます。

ご興味ある方はぜひご覧ください。

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いまむらけいすけ

慢性疼痛専門整体アルファの院長|理学療法士として長年医療機関で勤務したのち、慢性的な腰痛や肩こりで悩む人のサポートをするために2023年福岡市南区に整体院アルファを設立

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