この投稿は、慢性的や腰痛や肩こりといった痛みを患う方の施術に特化した整体院アルファが、痛みでお悩みの皆様に最新のエビデンス情報をお届けするコラムです。
慢性疼痛専門整体アルファは福岡市南区大楠で施術を行なっています。長年の痛みに悩まされている方はぜひ一度当院にお越しください。必ず皆様のお力になります。
今回は、腰痛を患っている方とそうでない方の「歩行の特徴の違い」について解説していきたいと思います。
実は、腰痛がある人とそうでない人では大きく分けると「5つ」違いがあり、この5つを理解しておくことで治療のヒントに繋がりますのでぜひこの機会に抑えておきましょう!
腰痛を患ってる人と健常者、歩行における5つの違い
今回参考にさせていただいた論文はこちらです。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35151908/
この論文の目的は、急性あるいは慢性的な腰痛を持つ人と健康な人を比較し、歩行およびランニング時の身体の使い方にどのような違いがあるかを明らかにすることでした。
ちなみにこの論文はシステマティック・レビューというものでして、世界中にある腰痛と歩行に関連した論文を片っ端から集めそれを分析するという手法をとっています。
では一体どのくらい関連論文が集められたのかと言いますと、全部で3272本です。とんでもないボリュームです。
研究の質や重複する論文を除外した結果、最終的には55本が厳選されそれらを分析しました。その結果を以下に示します。
特徴その① 歩行速度
「腰痛のある人は健康な人よりも歩行速度が遅い」
ことが明らかになりました。なんとなく想像しやすい結果ではあると思いますが、客観的な事実が出たというのは一つ重要な根拠になるため、おさえておくと良いかもしれません。
特徴その② 歩幅
「腰痛がある人は歩幅が短い」
歩行速度が遅いということは、歩幅が短い可能性というのは十分考えられる要素かと思います。
この特徴2つを臨床現場に落とし込むとするならば、例えば腰痛患者さんに『6分間歩行』であったり、『10メートル歩行テスト』を評価として用いるのは有用ではないかと思います。
特徴その③ 体幹と骨盤の動き
「腰痛のある人は、健康な人と比べて体幹と骨盤の動きが同期している」
これはどういうことかというと、要するに「体幹の回旋運動が不足している」ことを意味しています。
通常、歩行時には上半身と下半身が適度に捻られるのですが、腰痛患者さんはこれが少なくなっているのです。
つまりそれは、歩行時に身体を固めて歩いている傾向にあるということです。
特徴その④ 脊柱起立筋の筋活動
「腰痛のある人は歩行中に脊柱起立筋の活動が増加している」
この点は、特徴③とリンクさせて考えると腑に落ちるかなと思います。
先ほど、「腰痛患者さんは通常起こり得る体幹の回旋運動が不足している傾向にある」とお伝えしましたが、筋活動レベルで見ても脊柱起立筋で背中をガチッと止めているということがわかります。
ただし、この論文からだけでは
・脊柱起立筋の筋活動が強いから体幹が回旋しにくいのか
・体幹の回旋を脊柱起立筋が働きすぎることで止めているのか
という順番は明言できません。ちなみに、経験論的な部分にはなりますが筆者である私は「後者」のパターンが強いのではないかと仮説を立てています。
特徴その⑤ その他の身体部位の動き
「腰痛がある人と健康な人で胸椎、腰椎、骨盤、または股関節の動きの大きさに顕著な違いは見られなかった」
特徴④までは、腰痛がある人とない人の明確な違いについて述べましたが、最後は一見差があるように見えるが意外とそうでもない部分をまとめました。
この結果から、腰痛があると歩行や筋肉の活動に大きな影響を与える一方、身体各部位におけるの動きの大きさには顕著な違いがないことがわかります。
つまり、身体各部位だけを評価してもテストで引っかからないが歩くと目立ってくる課題というのが腰痛患者さんにはあるかもしれません。
この5つを踏まえながら、腰痛のリハビリを進めていけると何か突破口が掴めるかもしれません。
この内容が皆さんの臨床の一助になれば幸いです。